園丁

少し前にも書いたけれど、この頃、キプリングをよく読むようになった。
特に、晩年の作品は凄まじい。
http://d.hatena.ne.jp/pakira_s/20110201
「園丁」は「祈願の御堂」に収められている作品。
http://d.hatena.ne.jp/pakira_s/20101122


私も、本当に理解力が無いのだろう、3回読み、ボルヘスのヒントを読み、聖書を読み直して、やっと感動できる程度に理解できた。
しかし、物語はそこからのような気がする。
キプリングの小説はこれほど難解なのに、解説が無い。
それも分かるような気がするが、なぜ分かるのかも含めて、誰も書いていないのが何とも言えない。
ただ、一つ書いておこうと思うのは、キプリングの作品は暗いと言う人もいるが、私はそうは思わない。特に、後期・晩年はそうだと思う。むしろ救済の物語なのではないだろうか。


「祈願の御堂」は、編纂したボルヘスの凄まじさもよく分かる。
収録作品も素晴らしいが、解説も素晴らしい。
この機会に、邦訳されているものや英語版の作品集も見てみたが、収められている作品や解説に不満が残る。
キプリングの作品は、岩波文庫の訳者の方が書いておられるように「韜晦と隠蔽」の作品(と引きつつ、この表現が適切かには疑問があるのだが)なので、このように、編纂者による差が際立つのだろう。
アルゼンチン国立図書館の館長であり、ウンベルト・エーコ薔薇の名前』の図書館長ホルヘのモデルと聞くと、ボルヘスの編纂した「バベルの図書館」の全巻制覇をやろう、という気になりました。
私は「バベルの図書館」シリーズでは、「祈願の御堂」「白壁の緑の扉」の2冊を持っているのみですが、いずれも、今や常に手元に置いている本になっています。