はじめての言葉

本を読んでいて、初めて見る言葉に出会わなくなってから久しい。
もちろん、例えば正法眼蔵などを読んでいれば、いろいろな言葉に出会うけれど、しかしそれは知っている言葉が違う側面から意味付けされているといった感じである。また学術書を読んでいても、いろいろな未知の概念を示す言葉も出てくる。しかし、それらの言葉を見て、初めて見た言葉として感動することは無い。
今日「おやみない」という言葉を見て、久しぶりに初めて見る言葉として新鮮な気持ちだった。
小止み無し、と漢字では書く。
小止み、とはちょっと止むことであり「をやみせず雨さへ降れば沢水のまさるらんとも思ほゆるかな」(後撰和歌集)「雨少しをやみぬるほどに」(源氏物語・帚木)とかの用法が辞書には出ています。私も「こやみ」という言葉は使います。
小止み無しの方は「あさましくをやみなき頃の気色に、いとど空さへとづる心地して、ながめやる方なくなむ。」(源氏物語・明石)といった用例があるようです。
古典を読めば、またいろいろな言葉に出会えるかも知れない。
因みに、今日、読んでいたのは、エランベルジェの「ヘルマン・ロールシャッハの生涯と仕事」というものです。


http://d.hatena.ne.jp/pakira_s/20100824