リーダーの管理

おたく☆まっしぐらを一応了(2011年7月31日)。
この作品は批判も多い。
「未完成」と批判している人も多く、私もそのように感じる。できているところまでがあまりにも素晴らしいので、未完成であることについて残念でたまらない、という思いが強くするのだろう。それでも、発売当時であっても値段に見合う内容はあるのではないかと思うし、現在のように安く買える状態だと、コストパフォーマンス抜群だ。)。

未完成である点を捉えて、田中ロミオ氏を「被害者」と言っているコメントもあるが、私は、やはりこのような状態での発売になった根本的な原因はロミオ氏にあるのではないかと思う。個別ルートでは、絵もできているし、システム周りも基本的にはできているわけで、できていないのはシナリオなのだ。ロミオ氏の妥協を許さず書き込む性格がこのような状況をもたらしたのではないかと推測している。
最果てのイマの作成に関し、プロデューサーの藤原将氏が、ロミオ氏について

最果てのイマ』のシナリオは「自分の力量を超えている」と言い出し「力量が足りないのではなく、やろうとしている事の志が高すぎる」と諭した

という記事があったが(http://www.geocities.jp/i_love_yokohama_bay/ima_push9_iv.html)、ロミオ氏については、このような形で進行を管理してくれる人が必要であると思う(上記URLで「内容を高める行為自体に異論はない。ただ時間をかけて現場にダメージを与えながらいいものを作るという方針を無条件で正当化することに抵抗はある」というロミオ氏の発言が引かれており、ロミオ氏自身も認識はされていると思う。一般的に、認識をしていても、自分だけで管理するのは難しいと思う。)。

また、イマについては、個別ルートより戦争編を優先してくれるようにお願いした、との内容もあり、非常によいアドバイスではないかと思った。おたく☆まっしぐらについては、現状の裏ストーリーがあるはずであり、しかもかなり明確な形で本文中に書かれているので、オープンにする予定であったのだと思う。現在のゼオパルドン編はやっつけで作られている感じがする。本当は、もっと壮大な(少なくとももっとしみじみとした)物語であったはずと思う。そちらをしっかり書いていれば、より物語に厚みが出て、素晴らしい作品になったのではないかと思う。こちらの戦争編は、個別ルートと違って絵もあまりないので、企画段階から落ちてしまったのだとは思うが。

この時には、既に田中ロミオ氏はゲームのシナリオライターとして大家だ。ゲームに限らないのだが、偉くなってくると、だんだん自分を管理してくれる人がいなくなってくる。偉い人の停滞は、プロジェクト自体の失敗、ひいてはその組織の衰退につながる。この「リーダーを管理するためのシステム」の重要性を感じる(リーダーは各レベルにいると思う。その意味で自分も含めて感じることだ。)。

最新作のRewriteは、複数ライターによるものであるため、スケジュールについての心理的圧力はより強かったと思うし、自らの管理や企業としてのマネージメントもあったので、それなりに決まったスケジュールで製品となったというところか。尤も、それでも製作発表2008年4月、発売2011年6月であったのだが。

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