郁文堂印舗

今日は、印鑑をお願いしました。
印鑑といっても、いろいろな手続に使う印鑑ではなく、落款のようなものです。手紙の署名のところに押したり、封をしたところに押したりするために使おうと思っています。
今回、神戸から東京に越してきて、兵庫でお世話になった方々にお手紙を少しずつ書いているのですが、封をするとき「〆」の文字で終わりにするのが何となくしっくり来ない気持ちになってきました。
何か、もう少し思いを込めた形で封をしたいと思い、印を作ってもらうことにしました。


いつも自宅から神楽坂に歩いていく途中にあるはんこ屋さんが気になっていたので、そこで作ってもらうことにしました。
入ってみると、本当に懐かしいはんこ屋さんで、品のよい奥さんが受け付けのようになっている小さな木の台の後ろに座布団を敷いて座っておられ、電話受や既製品の販売を担当されています。
その少しだけ奥に小さな木の座机があり、こちらもすらりとして品のよい、グレイのシャツを着てすっきりとした腕時計を締めたご主人がそこに座り、白熱球にブリキのシェードをつけたようなライトを付け、老眼鏡をかけて印章を彫っておられるようでした。
その奥との仕切りには、赤城神社のお札が貼ってあります。
私が印を彫って欲しいとお願いすると、奥さんが坐っていた場所にご主人が座り、奥さんは更に奥の、これは普通の高さの机に向かい、椅子に座って何か作業を始めました。
私は、ご主人に、こんな感じで作って欲しい、と話したあと、ご主人が印材を調べておられる際に、
「この辺はあまりはんこ屋さんが他にありませんよね。」
と話しかけてみました。
すると、少し前に1軒、一昨年に2軒、昨年は3軒閉めてしまった、とお話ししてくれました。
「年をとって、跡継ぎもいないから」
と言っておられました。
このお店自体は、40年くらいやっておられるとのこと。
いろいろな印影を見ながら、濃密な時間を過ごさせていただきました。


郁文堂という名前もうれしい。
東大の前に、郁文堂という小さな昔風の建物の出版社がある。
その出版社の小さな独逸語の辞書を学生時代に使っていたことを懐かしく思い出す。
私は、何となく「郁」という字が好きなのです。


郁文堂印舗
〒162-0811 新宿区水道町1-9
Tel.03-3268-1531
Fax.03-3268-1733
営業時間 平日 9:00〜20:00 土  11:00〜18:00
定休日 日・祝・年末年始
象牙事業所番号 T-3-13-14015
http://www.tokyoinsho.jp/shop/shop10/shop10-02.html