万年筆は刃物

先の金土日はStyloartの数野さんが谷中で個展を開いたので、私のペンの具合を見てもらいがてら遊びに行って来ました。
そのとき、面白いな、と思ったのは、ペン型の刃物。
キャップを捻って開けるまでは、すっかり黒檀軸の萬年筆だと思っていました。
開けると、ちょうどキャップの中に収まる、美しい刃が付いていました。少しだけ鉛筆も削ってみましたが、素晴らしい切れ味。
萬年筆の首軸と同じように刃を捻って外せるのですが、外してみるとしっかり銘も入っていて、奥様のお話では研ぎ直しもしてもらえるとのこと。
岡山で作ってもらっている刃とのことでした。
作ったきっかけは、万年筆評価の部屋の方が「万年筆は刃物」と書いておられたので、これを作ってWAGNERの会に持って行くためであったとのこと。
それなりに受けました、と数野さんは言っておられましたが、わたし的には大受け。個展会場で大笑いしてしまいました。
そもそも数野さんは木工から入った方ですから(その前はサラリーマンとのことですが)、刃物の扱いはプロなのですね。

冗談(?)はさておき、「万年筆は刃物」という表現もなかなか味わい深いと思います。正直なところ、私はそんなことは思ったこともありませんでした。気持ちのいい書き味のペンも、むしろ柔らかい感じですから、刃物というような切れ味感のある表現を想起させるような雰囲気ではなかったように思いました。

先日まで、不謹慎にもセーラーの島桑のニブを普通のプロフィット21長刀研のニブと交換し、島桑のニブをプロフィット21の軸に付けて使っていました。島桑のニブはとても気持ちがよく、仕事に使うにも最適な太さなのですが、島桑の軸が立派すぎて会議とかで目立ち過ぎるところがあり、業務で普通に使うためにプロフィット軸に付けていました。一方、長刀研も、島桑の軸に付けて使うとのびのびとした気持ちで使えていい感じでした。
しかし、やはり本来の姿で使おうかな、と思い、島桑に本来のニブを付け直しました。
その状態で改めて書いてみた時「ああ、これは刃物だ」と思いました。
正に切れ味を感じさせる書き味でした。
インクの流量が多いわけでもない、ある意味でさりげない書き味ですが、感動しました。