半島

ジュリアン・グラックの短編集「半島」を読了。
短編集、と称されているが、そのような印象はなく、半島などは長編を読んだ気分だ。
流石に全く筋がないというのは読んでいてつらかった。
このように筋がないと、私など、無理にでも筋、ドラマがあるのではないかと思ってしまうのだが(特に、変な言い方だが、余り筋がないように思えるグラックでさえある程度筋がある小説が普通であることを知っていると、そして、その期待が、普通の意味では裏切られるような形で実現される(というよりも予想される破滅へと一直線とも言える道筋で進んでいく)ことを知っていると余計そう思ってしまう。)、実は、本当に何の筋もなく、また何の波乱もないのだ。
単に恋人を待つ間の、数時間の暇つぶしとも言える行動について記してあるだけ(その長さたるや200ページにも及んでいる)だ。本当は、初めからそう分かっていれば、もっとゆったりとした楽しい気持ちで読書もできたのかもしれないが、
つい、いつもの破滅へと至るグラックの小説のつもりで読んでいると(実際、その緊張感、張り詰めた美しさは切々たるものがある。)、気が抜けない、暗雲垂れ込める地をゆく旅にいるように思えてしまう。
それにしても、グラックは独特なので、なかなか止められない。
続いて、今は「森のバルコニー/狭い水路」を読んでいる。