恋愛ホテル

暖炉の側で、薪のはぜる音を聞きながら、響17年の香りを聴いている。
つと立ち上がって、背面の本棚を見る。
「恋愛ホテル」という本が目に留まる。
ページを開くと、かつて上野にあったソフィテルの写真が真っ先に目に入る。
説明にはイグドラジルをイメージしたとあった。
さらにページをめくると、ここ、八甲田ホテルも載っている。
赤いビロードの二人掛けの花の咲くようなソファに一人で座って、火を見ていると、思いが翼を強く撃って天翔ていく。