ヒツジ屋

昨日は、久しぶりに昼間の神楽坂へ。
やはり夜とは別の楽しさがありますね。
連休中と言うことで人も多かったと思います。

その中で、ふと目にとまったのが「TAILOR ヒツジ屋」。
古びた佇まい。日に焼けた壁のショーウィンドーの中にも1着のカジュアルなジャケット以外何もない。
とても興味を引かれたので中も覗き込むようにしながらじっと見ていたら、ご主人らしい方が奥から出てきた。
確かに、私のように外国の空港ではいつも厳しくセキュリティチェックされるような不審な格好をしていると怪しまれるのも尤もだ。
しかし、折角出てきてくれたので、私もこの際入ることにしてドアを押して中に入った。
「何か?」
とご主人が聞くので、
「とても雰囲気のいいお店だと思って。
服を作っていただくようなことはできるのですか。」
と尋ねる。
「テーラー」という看板を出しているお店でするような質問ではないが、「いい天気ですね」という訳にもいかないのでこんな感じで切り出してみた。
聞いてみると、6万円くらいから仕立ててくれるという。
また、店頭にあった児玉毛織さん、橋本毛織さんの生地だと7万5千円、御幸、ダイドーだと10万円を超えるとのお話。
私も暫くスーツも仕立てていなかったので、これも何かの縁と思い、お願いすることにしました。

採寸もなかなか楽しい。
私は、見かけはそんなに見えないのですが、実は肩幅がとてもあり、ウエストは普通なので、既製のスーツは合わず苦労しています。
(因みに、靴もとっても甲高幅広なのでおしゃれな靴が履けず苦労しています。もともとおしゃれな靴など似合いませんが。)
今回も、採寸しているご主人に
「確かにこれはちょっと普通の仕立てと違うね」
と言われました。
そもそも、洋服を仕立てる際には、ちゃんと襟のあるシャツを着て、ズボンもその日履いていた自転車用パンツ(自転車でぶらぶらしていたので)などではなく普通のズボンを履いてくるものだ、と言われました。すみません。
仕立ての関係では、ペン差しを大きくてもらうことと、チェンジポケットをつけてもらうことをご相談しました。
後は普通の三つボタンのスーツをお願いしました。

「神楽坂も旦那衆とかおられてお忙しかったのではないですか。」
と尋ねると、
「そうだね、カシミアの角袖コートとか羽織っていたものだ。角袖を知らない?落語家が着ているいるようなやつだよ。」
とのこと。着物用のコートだったのですね。
こちらのお店はそうしたものも仕立てておられたとのこと。
「今は旦那衆など全然いなくなった」
神楽坂でもそうだったのですね。
また、嘗ては立派で高いスーツで押出を良くしようという人たちも結構いて、特に、夜の料亭などではそうした雰囲気があったのでこちらのお店も随分栄えたとのこと。

今も手仕事で洋服を作ってくれるお店もあるし、若い職人さんもおられるとは思いますが、
「弟子入りして厳しく仕込まれたような職人の世代はもう終わりだね」
とご主人は言っておられました。
東京の状況はよく分からない野ですが、神戸では職人さんの学校のようなところもありました。そちらでマスター格の方が教えておられました。
なかなか個人のテーラーは今はご苦労が多いのかもしれません。
内金の領収書に「但 修理代」とゴム印が押してあるのがしみじみしました。

ドアを開けて明るい神楽坂に出、華やかな色とりどりのお店の様子を見ると、旅から帰ってきたような感じがしました。

ヒツジ屋 テーラー
〒162-0825 東京都新宿区神楽坂6-65
電話 03-3260-8038
営業時間:10:00〜19:00 定休日:日曜
ご主人は、津金さんとおっしゃる方のようです。

こちらに写真があります。
http://kagurazaka.sanpomania.com/article/post-142/