葉隠も、語りを記した本なので、勢いに乗って書かれているように思えるところもある。若い頃から人を実際に殺す練習をせよ、という辺りは鼻白む。そのような心掛けは必要としても、実際に無闇に人を殺すことは武士道にとっても意味のないものだ。
当然のことではあるが、最近はある本を全面的に肯定するような気持ちにはなれない。葉隠のような毀誉褒貶のある本なら尚更か。
とは言え、昔の人を含め、いろいろな人々と対話することは喜ばしいことだ。現実、書物いずれでも、善き人に会いたく、また自らも共にいて好ましい人物になりたいと思う。(平成16年6月8日記)