暁にかえらん人

枕草子六十段。
暁にかえらん人、とは愛しい女性と会って、朝方帰っていく人のこと。
昔は通い婚とか、あるいは勿論、交際時にも男性が女性のところに行っていたようですが、あまりあからさまにやることは好まれず、早朝、陽が出る前に帰るのが好ましいとされていたとのことです。
枕草子は、「春はあけぼの」の段でも有名なように、好ましいものを書いている(対照で「にくげなるもの」についても書いていますが)のですが、暁に帰る人の姿としては、第三者的に見ても(?)朝になったからといってさっと起きあがり、きりりと服を整えて帰っていく人より、別れがたくぐずぐずして、服も傍からもそれと分かる感じでなんとなく適当に着て、やっと帰っていく人の方が好ましい、と言っています。