昨日の夢。
学生街、と言っても今の日本の学生街のような感じではなく、私のイメージの中にあるかつてのパリやサンクトペテルブルグの石造りの街の、しかも急な傾斜があり半分地下になっているような黒々とした地区。しかし、それは惨めな暮らしをしている人たちが集まっているというのではなく、そこでみな今の日本のような普通の暮らしをしている。もちろん、学生たちなので、その限りでつつましい様子をしている。
そこで、私と他のみんなが集まりをする。
我々が会合をすることになっている部屋のある建物は、2メートルに欠けるくらいの通路を隔てて、食堂のような場所を半地下に持つ建物と面している。建物はそれぞれ他の建物と独立してはおらず、通路の両側に綿々と続いている。両側を隔てている狭い通路には、30センチほどの、歩道のような少し高くなった部分が両側についている。
私は、やはり半分地下になっている部屋に入った後、ふと半開きになった扉から外を見ると、一人の濃紺のタートルネックのセーターを着た女学生が通路の食堂側にいて、こちらに来られずにいるのを見つける。私は部屋から出て通路のこちら側に立ってみると、通路に水が流れており、水路のようになっている。私は、その女学生を部屋に請じ入れようとし、通路を飛び越してこちらに来るように言う。しかし、その女学生は顔を左右に振り、こちらに来ようとはしない。
その時、私は、はっと気がついた。
急いで部屋にいる皆に声をかけ、外に出、皆で向側へと通路を飛び越した。
皆がやっと通路の食堂側に渡り、通路を見ていると、通路を流れる水はどんどん量を増し、低くなっている部屋の方に流れ込んでいった。
私は、我々を救ってくれた黒い長い髪の、暗い顔をした少女を見る。
彼女は、俯いたまま、視線を彷徨わせている。

(今思い出したが、その少女は、私が先日の仙台旅行で見かけた、同じような格好をした人に似ている。決してはっきり顔を見て覚えているわけでもないのだが、夢の女学生はその人をもっと昔風にしたような少女だった。)