言葉の本

「硬筆入門」ISBN:4586503904屋さんで買いました。東京外語大学がある多磨駅前の古本屋さんですが、かつては普通(でもないのですが)の古本屋さんだったのですが、外語大が移転してきてから言語学系の充実が目覚ましい。面白いお店です。この硬筆入門というのは、まだワープロもない頃の1977年の本で、書道家の方がシャープペンやサインペンでの美しい字の書き方を書いた本です。
「実生活に書く文字としては速さを要求する関係上、ほとんどが行書もしくは草書が使用されています。」とありますが、今では私もそうですが、行書も草書も書けない人が多いのではないかと思います。(米国でも、筆記体cursive scriptは日常で使われていないように見受けられました。)
この本は、作家の筆跡や紀貫之藤原行成王羲之、歐陽詢といった名筆家の墨跡も載せられていて興味深いですが、例文も面白い。一番よかったのは、旅先からの手紙の例として挙げられていた次のものでした。
「仲よしお友達2人と上高地に来てこの山宿に落ち着いたところです。夕食の献立は山の幸ばかり。明日は蓼科の方へ参ります。ご研究も大事でしょうが、ますます美人になった友子を見に早く帰ってきて下さい。誠様へ 上高地にて 友子より。」