代々木

代々木の、あるカフェ。
私は、席に座り、珈琲を飲んでいる。
見ていると、3人のアルバイトの人たちでやっている。二人は女性、一人は男性だ。
そのうちの少し髪を染めた女の人が面白い。
淡々と仕事をこなし、他の二人がずっとおしゃべりをしている際も特にそれに加わろうとしない。別に無理に意地を張って会話に加わらないのではなく、正に淡々と仕事をしているためだ。
お客さんには、笑顔で接するが、大した笑顔ではなく、ごく普通の笑顔で、それがマニュアルっぽくなく、よい感じだ。
少し離れた工事現場で交通整理をやっているような、50過ぎのおじさんのような人が来て、他の二人は少し馬鹿にしたような顔をし、また少々場違いでは、といった雰囲気の目配せなどを互いにしているのだが、この髪を染めた女性は、普通に大切なお客さんに接するように、普通の笑顔で注文を聞いている。この工事現場の人の頼んだアイスコーヒー一杯は、ことによると他の人の一杯より大切な、価値のあるものかもしれない。
この、髪を染めた女性は、他のアルバイトの人が困って入ればさりげなく助け船を出す。
私も、こんな風に自然に仕事ができればいいな、と思った。