工場にて

昨日の、凄惨だが、懐かしく美しい夢。


最後の情景は、灰色のタートルネックのセーターに短いコートを羽織ったセミロングの髪の少女が、体の殆どを失った少年の死体(二本の足と一本の腕と体幹の一部だけで、頭部も胸部も失われている)と、もう一人の、やや長髪の、これも、もう一人の少年と同様に工員姿の少年の死体(彼も既に死んでいる)が2つ立っている工場(彼らの住まいでもあるのだろうか)に来て、彼らを見つけ、その姿を、「何でかな」と思って見つめている、という場面だった。少女の思いは、別に投げ遣りとかいう感情ではなく、淡々としているとかいうものでもない。切なさがあるけれど、その爆発が抑えられている。少女自身が、少女の体に放たれた銃弾(自ら撃ったのか、他人が放ったのかは分からない)を蔵している。彼女の体自体、血まみれなのだが、それを服で隠している。


少女は、先に少年のところを訪れている。その時、少年は死に定められているのだったが(だからこそ少女は心配して来たのであったが)、少年は一見単なる風邪か腹痛のような様子で、少女は、自身は実は既に血まみれであったのだが、少年が大丈夫そうなので、自分の部屋に戻り、服を着替えセーターを着、コートを羽織って街へ出ていく。そこで子供たちが遊ぶのを見たり、犬や猫を見たりしている。
(この夢は白黒で、一部にだけ色が着いている。この町は、少し前、昭和時代の小さな工場の立ち並ぶ下町、木造の小さな工場と長屋風の家の並ぶ、川沿いの、堤防のある町だ。)


そして、少年の様子を見に戻ってくると、少年がそんな風(書き出しの情景)になっていたのだった。それは、工場の機械に巻き込まれたためかも知れないし、そばに死して立っている友人との争いのためかもしれないが、二人は仲が悪いということはなかったので、争いのためというよりは、お互いをこうした凄惨な状況とすることを正に目的としてお互いのやるべきことをやった、という感じか。