既視感

青森県岩手県境にある、日本でも最大級の産業廃棄物不法投棄現場を見に行きました。
平成24年までに不法投棄物を撤去する予定とのこと。
発覚は平成11年、平成3年頃から不法投棄は続けられていたらしい。
全国からも見学の人々が来る現場で、「まるで団地の造成のようだ」という人もいると言う。
美しい自然の谷を埋める産業廃棄物とそれを何度も覆土しながら埋めた人間の心の暗さを思う。
この谷を元に戻すために、青森県側だけでも400億円以上の費用がかかるという。


私が戦慄を覚えたのは、汚水を浄水施設に送るパイプの説明を受けたときだ。
パイプはコンクリートで地中に埋められており、見ることができない。
説明では、現状回復を容易にする、との観点から、本来はこのように固めずにそのままにしておきたかったが雨で流されたり周囲がえぐられてしまったりするので、このように固めたとのこと。
そのとき、私はそのパイプの周辺を水が激しく流れている光景を以前見たことを思い出した。
夢で見たのだろう。
その暗い情景を見たのは、おそらくスタニスワフ・レムの「大失敗」を読んでいる頃のことだ。
青森に来てから、このような強い既視感を感じたのは2度だ。
いずれも、その光景自体は禍々しいものではないはずなのに、なぜか戦慄が走る経験だった。


青森・岩手県産廃不法投棄事案ホームページ
http://www.kenkyo.pref.aomori.jp