回転木馬

モルナールの「リリオム」の映画化作品の題名。

回転木馬 [DVD]

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本当に恥ずかしい話ですが、「リリオム」を読むといつも泣いてしまいます。
ISBN:4003277112
ISBN:4122004020
その後、やはり江古田の古本屋で、戦前に発行されたモルナールの本を購入してとてもうれしかった記憶があります。戦前のメロドラマ、というとどんなものか分からないのですが、イメージだけはぴったりで、モルナールは日本で昔から愛されていたのだな、と思います。
聞けば、私の住む千駄木の近くには、「リリオム」という喫茶店があったとか。

たとえば、昭和6年に開店し、現在の谷中三丁目、「菊見せんべい」の近くにあった茶房「リリオム」には、松本俊介、長谷川利行、鶴岡政男、麻生三郎ら「太平洋美術学校」に属する若き画家たちが集まっていました。「店の外壁は水色に塗られ、二階まで蔦がからまっていた。モザイク模様の床板、白いカウンター、ソファー、そしてクラシック音楽。昭和初期のハイカラな店作りだった」。

著者は、その「リリオム」に足を踏み入れなかった一人の回想を引用します。「自分が学校の帰りに、山を谷中の方へ降りたことがなく、いつも山下(広小路)か鶯谷の方へ降りていたことを思い出し、あれが私の運命の岐れ目だったなと思う。(略)もし私が谷中へ降り、リリオムに行ってその人たちに会っていたら、あるいは私の人生の方向が変わっていたかもしれない」。

ここでの「学校」は東京美術学校(現・東京芸大)、「私」は名エッセイ『気まぐれ美術館』シリーズを書いた画商の洲之内徹、その若き姿です。往来堂のご近所在住者のみなさんは、山を谷中に降りるか上野に降りるかの「分かれ道」をまさに実感されるのではないでしょうか。
http://www.ohraido.com/column/koreuri/010.html

参考:http://www.yanesen.net/backnumber/044/

昨日は、書き出しが回転木馬だったので、つい「黒いピエロ」も買ってしまいました。
私は映画は見ていません。
アマゾンでの評価は厳しいようですが、原作からすると下記のURLの感想が頷けます。
http://nana.musical.to/tubuyaki/eiga/1956_carousel.html
なお、リリオムにはフリッツ・ラング監督のものもあるのですね。
こちらも見ていません。
http://www.jtnews.jp/cgi-bin/review.cgi?TITLE_NO=8940
http://cinefille.at.infoseek.co.jp/directeurs/lang.html