平気でうそをつく人たち

随分前のベストセラーの本ですが、近くの古本屋さんで300円で売っていたので、買ってきて読んでいます。
人間の心の闇を覗くようですが、何となく人間の心には、この本で書いてあることより、まだ先というか奥があるように思います。
また、結局「邪悪」というのは、他の人に対する共感力の不足(その根本には他の人と共通に戴く自分より高位の価値の存在の認識の欠如)ということを述べているように思うのですが、それであれば現代の、少なくとも私の見聞する範囲の日本において余りにも普通に見られることのように思います。
そして、それは自分も含めて、ではないかと思います。
例えば、作者のシャーリーンというクライアントに対する態度には、自ら反省しておられますが大事なところで笑ってしまったりするように共感が感じられません。その意味では作者にも「邪悪」なところがある、と思います。実は、作者はそれを分かっていて、この本を読んで自分は邪悪ではない、と感じて安心している人も問題である、との謎かけをしているようにも思えます。
その意味では、この世は「邪悪な世界」ということになるのかもしれませんが、そうでない空間を拡大していくのが務め、というところでしょうか。

平気でうそをつく人たち―虚偽と邪悪の心理学

平気でうそをつく人たち―虚偽と邪悪の心理学