獅子舞

夕方、青森市中心街の善知鳥(うとう、と読む)神社の前を通ったとき、縁日であったので自転車を降り、お参りをした。
もう日はとっぷりと暮れ、白熱電球風の懐かしい灯りが境内を仄かに照らしている。
人も少ない、淋しい縁日だが、綿飴、飴せんべい(いわゆる南部せんべい津軽飴という水飴をつけたもの)、たこ焼き、焼き鳥などの出店が出ている。やはり空気が澄んでその中に海の香りが感じられて爽やかだ。
巫女さん姿の娘さんも歩いている。
私が一通り各お社にお参りを済ませた頃、
「これから奉納の獅子舞をしますので、ご覧下さい」
とのアナウンスが流れた。
特に獅子舞に興味があったわけではないのだが、せっかくなので、少しだけ見ていこうかな、と思った。
やがて、出てきた獅子舞は4人組で、皆、子供からせいぜい高校生くらいの、おそらく女の子が中に入っているものだった。
それは、獅子舞の保存会によるもので、この保存会は「宮田組」という名だった。
ねぶた祭りの時も思ったのだが、お囃子がもの悲しいのに、踊りの方は現代的だ。
3人は、いわゆる獅子舞のお面。でも、おそらく踊りやすいようにだろう、やや装飾の薄い、軽いものになっている。もう一人は、まだ小学生くらいと思うが、お面・衣装もお猿のもの。これが可愛い。
そして、手に神木の葉を持ちながら踊るのだが、私のところにきて、それを私の前の地面に軽く触れるようにしながら、私の厄を払い、幸を祈ってくれる。私はびっくりしてしまう。他の人のところには、大部後になってから、もっと短い時間で軽く踊るようにして回っていたのだが、私のところには最後にもう一度やってきて、丁寧に踊り、私の顔をじっとお猿の面越しに見て、そして踊りながら去っていった。
そんなに私には厄がついているように見えたのだろうか、と思い、また感謝しながら、私は哀しく微笑んで獅子舞の一行が消えていった方を見ていた。