言霊を超えて

今日は、被害者支援都民センターの岩谷さんのお話を聞く。
今は、民間の被害者支援団体でボランティアをされている岩谷さんだが、ご自身も、息子さんが放火犯に刺され生死の境をさまよう重傷を負うという経験をお持ちだ。岩谷さんは、このセンターばかりでなく、被害者支援等を行っている法テラスでもお仕事をされている。
静かなお話し振りがとても説得力があり、引き込まれてしまった。
誰もが
「自分も被害に遭う可能性がある」
と頭では思っているが、実のところ、
「自分だけは遭わない」
と心では思っているのではないか、それを変えてもらうには、少しずつでも、多くの人から協力をしてもらうような仕組みを作るのがいいのではないか、とお話しされていた。


私も以前から思うことは、多くの人が
「不吉なことを話すと本当に起こるかもしれないから話さないように」
と言われた経験を持ち、そのような習慣を身につけているのではないか。
その意味では日本は言霊の国、ということだろう。
しかし、本当は、最悪の事態を自らのこととして眼前に描くことができる想像力こそ、あらゆる重要なことを成し遂げる上で重要な能力と思う。
その意味でも、犯罪被害について考えることは重要だと思う。
犯罪については、その発生を防ぎ、多くの人が犯罪に遭う確率を下げる、ということは可能だ。
しかし、どのように用心したところで、完璧に防ぐことはできない。
そうであるとすれば、被害に遭ったときのことを考えておくことは、日々どのように生きるか、意味でも大切なことと思う。