八百屋さん

pakira_s2010-06-08

私は買い物も、できればスーパーとかではなく、普通のところで買いたいと思っています。
今はそうしたお店も少なくなってしまいましたが、先日、歩いていたら一軒の八百屋さんがあった。
そのお店の前では、小学校3,4年生くらいの女の子が遊んでいる。
もう夕方で、お母さんらしい、お店を守っている人が品物を片付けて店仕舞いの支度をしている。
女の子は楽しそうに跳ねたりして体を動かして遊んでおり、お母さんも特に子どもと常に目を合わせているわけではないが、微笑みを含んだ顔で作業をしている。
近くにはスーパーもあり、それほど商いがあるわけでもないのだろうけれど、売れてしまったのか狭い店内には品物はほとんどなかった。
私は一度通り過ぎたのだが、その母子の気持ちのよい顔を思い出して、踵を返して戻って来る。
いつものように全身黒い服なので、閉店間際の店内に入っていくと、ちょっと警戒されてしまった。手近な棚にあった卵のL玉10個パックを手に取って見る。一人暮らしの私にはちょっと多いかなと思ったが、それを購めることにして、お母さんに
「これ、下さい。」
と言う。お母さんは、それを手に取り、白い袋に入れてくれる。私はそれを受け取り、ちょうどの金額を渡すと
「ありがとうございました。」
と言ってくれる。私が覚えたての関西のアクセントで
「ありがとう」
と言いながら、お店を出る。
まだ陽のある路上に出て、家の方に向かおうとしたとき、女の子の
「ありがとうございました。」
という明るい声が私を追いかけてくる。
振り向いて、もう一度二人を見て微笑んでから、家に向かって歩き出した。