再会

12月23日、ふらりとPen and Messageに行ってきました。
その日は、鋏など買いました。
ペリカンのM450という万年筆を試し書きさせてもらっていたら、欲しくなってしまい、中字を注文してきました。
書いていると、何か、心の奥の方にあるものを呼ぶ声がするような気がする。それが何であるのか初めは分からなかったのですが、ふと、
「ああ、あの時の気持ちだ。」と気付きました。
不思議な気持ちでした。
今日はそれを貰いに行ってきました。


私がまだ若く四谷にある英会話学校に通っていたとき、四谷駅近くの文房具店のショーウィンドウにとても美しい万年筆が飾ってありました。
それは、今思えばペリカン400NNだったのですが、当時の私としてはかなり高額なものでした。随分迷ったのですが、思い切って購入しました。


書き味は滑るような感じで、当時、専らプラチナ18を使っていた私としては、不思議な、少し頼りなげな優しい書き味であったことをよく覚えています。


特徴としては、現在は角張っていてプリント印刷のキャップの頭が、丸くてペリカンマークが刻印されていることが挙げられます。軸の先も丸くなっていました。
この万年筆には、ペリカンのローヤルブルーインクを入れ、本当にたくさんの書き物をしました。
中字とは言え、かなり太い感じでしたが今もその筆跡が目に浮かびます。


残念ながら、筆箱を落とした際、車に轢かれてしまい、軸が折れて使えなくなってしまいました。
その後、おそらくペリカンM600を購入したのですが、これは固くて私には使えなかったので、使ってくれる方に差し上げました。
この外、思い返してみると、高校生の頃、父のペリカンM21を私が占有して使っていた時期があるので、今回のM450は私にとって、4本目のペリカンということになります。


今回、M450で書いていて気付いたのは、ああ、これはあの懐かしい書き味と通底している、ということでした。
就職して間もなく購入した#400に近い懐かしい書き味なのですが、それに色気というか年相応の品格というか、そうしたものが加わっているような感じがします。
かつてのキャップや軸の先の丸いペリカンは、優しい感じで、ある意味、清楚な若い女性といった感じもありましたが(今の角張ったキャップの#400を見ている方には女性的なイメージには違和感があると思いますが。)、M450は、成長した品のある女性という感じです。


ふと会って、美しく品のある女性だな、と思った人が、実は、好きだったけれど離ればなれになった初恋の人の成長した姿であったことに気付いて歓びがこみ上げてくる、という感じでしょうか。


Pen and Message
http://www.p-n-m.net/


Pelikan 400NN
http://pelikan.livedoor.biz/archives/51043021.html