枕草子

クンデラの本の訳者の解説を読んでいて、「存在の耐えられない軽さ」を訳した千野栄一さんの訳とその他の多くの本を訳している西永良成さんはいわば師弟の関係にあることを知りました。
私はチェコの言葉についてはもちろん、フランス語についても本を楽しんで読めるような力はないので、訳者の方々のおかげで楽しい時間を過ごさせてもらっています。
お二人の訳を読んで、千野さんの訳の方が読みやすいな、と感じます。
これは、日本語の差かな、と思ったりします。
折しも新聞に、子供の日本語の読解力の話が出ていました。
言語が思考のツールとすれば、その刃が鈍ることは思考する力、さらには他人の気持ちや考えを理解する能力が落ちていることを表しているようにも思えます。日本に帰ってきて感じる人々のコミュニケーション能力の不足(私の場合目が合っても笑いあったり電車から降りるときに言葉をかけて通してもらうことが少ないことを言っているのですが)とも関係があるのかもしれません。
ということで、私も、最近日本語を少しでも美しくしようと思い、枕草子を少しずつ読んでいます。

枕草子 (新 日本古典文学大系)

枕草子 (新 日本古典文学大系)