透明な人

昨日の奇妙な夢。
私は、何か災害時の仮寓のようなところにいる。
私一人が暮らしているわけでもないようだ。また、個室というわけでもないのだろう。
そのときは、2階で寝ていたようだ。
ある子供がやってきて、「家庭教師の人が来て、帰っていったよ」と知らせてくれる。
家庭教師、というのは、その子供の家庭教師ではなく、私の家庭教師のようだ。
家庭教師の人は、住み込みにでもなるのだろうか、荷物を置いていったとのこと。
子供は、家庭教師の人の荷物から彼女のIDカードを探し出してきて、私のIDカードと一緒に持ってきてくれる。
子供は私に、
「(家庭教師の人は)変な人だったよ」
というので、私も興味を感じず、IDカードを見もせずに子供に返す。
暫くすると、家庭教師の人が戻ってきたらしい。
また子供がやってきて、
「家庭教師の人が来たよ。IDカードを出して見ていた、と言ったら、自分のは回収して持っていったよ」
と言う。
レディの荷物をチェックしたりしてはいけません、と、たしなめられたのかもしれない。
私は、『別に家庭教師にお世話になるようなこともないのだが』などと思いながら階下に降りていく。
すると、そこに家庭教師の人がいる。
私に向かって、いきなり
「聞きましたよ、大学院に入るのに2年以上かかって大変つらい思いをしたんですってね。今もお仕事でつらい思いをしているですってね。私と一緒に頑張っていきましょう」
と、真剣な口調で話しかけてくれる。
私は『大学院にストレートでいかなかったのは仕事をしていたからだし、今も仕事は楽しんでいる』と説明したくなったのだが、相手に気圧されて、何も言わずにいた。家庭教師、というよりは流行のコーチングか、いっそ心理カウンセラーみたいな感じかな、などと思いながら見ている。その「家庭教師」の人は、初めて見る人であったが、若い、美しくきりりとした人なのだった。
その場には私は長くはとどまらず、また自分の部屋に戻ってくる。そして、渡された自分のIDカードを見る。それは、透明だけれど向こうがきれいにすけてみえるというものではなく、私の名前が白く見えるように彫り込まれていた。写真とかはついておらず、堅いのか、柔らかいのかもよく分からない。しかし、私は、彼女のは普通の免許証のような、写真も住所等も載っているものであろうと思った。
いったん目が覚めて、本当は、もう少し寝ていようと思ったのだが、この夢が何だかおかしく、夢で見た「家庭教師」の人が素敵だったので、忘れない前に書いておこうと思い、床を離れてしまった。いやはや。
せっかくなので、私の学問と仕事について、「家庭教師」の人と対話しながら(つまり、まず自分自身で神と問答しながら)、よく考えてみようか、とも思う。また、IDカードが透明なのも、何だか象徴的ではないか。