駅にて

pakira_s2009-10-20

 駅で車椅子の人と一緒になる。
 私がビジネストロリーを引いてエレベータに乗りこむと、車椅子の人が改札口から入ってきたのが見えた。「開」のボタンを押して待っていたのだが、何故かこちらの方を見もせず、少し離れた所に止まっている。不思議に思っていると、すぐに駅員の人が、電車に乗る際に使うプレートを持ってきて、エレベータに乗ってくる。そして、私に「少々お待ちください」などと言って、私に代わって「開」ボタンを押しながら車椅子の人を招く。エレベータから降りるときは、車椅子の人が降りた後、私に向かって「すみません」などと言って「開」ボタンを押して私が降りるまで待っている。
 それは違うではないか。貴方のやるべきことは、私に「開」ボタンを押させ、すぐにプレートを持って車椅子の人を案内し、明るくケアすることだろう。
 実は改札口の所でも、車椅子の人は改札口からかなり離れた所に止まっていた。何故だろう、と思っていたのだが、見ると車椅子の通る幅の広い改札口には2人の女子高生がいて、駅員の人と会話をしている。車椅子の人は彼女たちが気兼ねなく会話を続けることができるように離れて止まっていたのだな、と気付く。勿論、エレベータの入り口から離れていたのも私が先に降りることができるように、という気遣いだ。
 私は、本来気遣われるはずの人が気遣っていることに悲しくなる。本当は、車椅子の人とそうでない人がもっと自然にコミュニケーションが取れ、そうした機会によい関係が生まれることが素敵だと思う。この車椅子の人は、そうした場面で顰め面や迷惑そうな視線に出会ったことがあったのだろうか。それとも元々慎ましい人なのだろうか。ネクタイを閉め、スーツを涼しげに着こなした、足の小さなその人をみて思う。
 最近はエレベータの前に普通の人がずらりと並び、乳母車の人や車椅子の人が来ても譲る気配もないことがある。Universal とは、車椅子の人も普通の人が使うものを使えるようにすることで、もともと車椅子の人のために作られたものを普通の人が使うことではない。
 車椅子の人が胸を張って駅のエレベータを使えるようにしたいものと思う。