子どもを抱く夢

子どもを抱く夢。
ようやく歩けるくらいになった男の子か。
私の子どもでもあるらしい。
私が抱き上げて顔を見ると、体中からの笑みを浮かべる。
「少し歩いてみようかな」
と子どもは言う。


その前には、私は死者の場所にいる。
両側は壁だが、その下には水が流れている。
横を流れているのではなく、壁の上方から、壁の裏にも、表にも水が流れている。
それは、人工的なものというよりは、自然にできた回廊という感じか。
「ここには死体がながれて来、幽霊がいるのです」と誰かが語る。
私はかつて川に浮いていて、小さな段差のところでくるくると水に打たれて回っていた犬の死骸を思い出す。
その死体は妙に白くなっていた記憶がある。
しかし、その場には、特に白い死体が流れてくるような気配もなかった。
霊を感じる力の弱い私は幽霊が満ちていることも分からなかった。
ふと気付くと、壁の下、水が壁の裏面から流れ出てくるところから、白い足のつま先が覗いていた。
壁の裏に誰か立ち、足先だけ出しているような感じだが、白蝋化したような様子で死体のものと分かった。