歌姫ヨゼフィーネ、または鼠の族(やから)

カフカ全集III「変身・流刑地にて・支那の長城・観察」新潮社、昭和28年
「彼女が最高の栄冠に手を出そうとしているのは、それがちょうど今わりあい低いところにぶら下がっているからではなくて、正にそれが最高のものだからなのである。」
「彼女は、あらゆる層の民衆が内心反対の連中にいたるまで、実際に聞きたくなるほど魅力的な歌を歌うことができると自負しているそうだ。その実際の魅力とは、これまで民衆がヨゼフィーネの歌を聴いて感じたといっている魅力の意味ではなく、ヨゼフィーネのあこがれ求めている魅力の意味なのだという。」