ドルチェ

pakira_s2007-04-12

小説「死の棘」モデルの島尾ミホさん死去
 作家の故島尾敏雄氏の妻で、同氏の小説「死の棘」のモデルになった作家の島尾ミホ(しまお・みほ)さんが25日午後10時ごろ(推定)、脳内出血のため鹿児島県奄美市名瀬浦上町47の11の自宅で死去した。87歳。(中略)
 鹿児島県・加計呂麻島で教員をしていた1944年、海軍特攻隊長として島に駐屯した敏雄氏と出会い、戦後結婚。1男1女をもうけた。島で過ごした少女時代の記憶をつづった「海辺の生と死」で田村俊子賞などを受賞。

 86年11月に敏雄氏が死去した後も喪に服し続け、2002年8月に長女マヤさんを亡くしてからは1人暮らしだった。27日午前10時ごろ、東京に住む孫の漫画家しまおまほさん(28)が奄美大島の自宅を訪ね、自室で亡くなっているミホさんを発見した。

 01年には自身の半生を描いたアレクサンドル・ソクーロフ監督(ロシア)の映画「ドルチェ−優しく」に出演した。
[2007年3月28日16時6分]
http://www.nikkansports.com/entertainment/f-et-tp0-20070328-176357.html

私が、2001年8月に書いたメールを以下に引用します。ドルチェの感想です。
間違いもあるかもしれませんが、私の心の中の認識ということでご寛恕ください。
写真はパンフレットの表紙ですが、イコンのようですね。
ロシア映画なので、ロシア語の字幕がついているのが不思議な感じでした。
マヤさんも既に亡くなっておられたとは。

脚本を書いておられるとのことですが、一つのものを作り出すのは大変ですね。
私は、最近では、ドルチェというソクーロフという人の映画がよかったです。
今まで見た映画の中でも一番いいくらいで、翌日早速もう一回見に行ってしまいました。
奄美大島が舞台ですが、出てくる人は2人だけ、せりふをいう人は1人だけという映画でした。場面も家の中だけ、家から見える景色だけです。
この一人の人というのは、島尾ミホという人で、島尾敏雄という作家の奥さんです。
もう80歳近いのではないかと思う人なのですが、とても美しい人でした。島尾敏雄というと「死の棘」という小説があります。この小説は、ほとんど実体験を小説にしたものと言われていますが、妻以外の女性と親しい関係になった作者に対して、ミホさんがそれを責め、そして自らは発狂してしまうという筋です。評論家で、この「死の棘」を、ミホさんに捧げたもの、と言い、またその表現の凄まじさのため「息抜きがほしい」と言った感想を言う人もいます。しかし、私には、少しも読むことが苦しくはなく(中略)島尾敏雄自身は、その後も順調な作家生活を続け、多くの賞を得て、69歳で亡くなりますが、(「日のうつろい」に描かれているような)一見静かな、平和な生活における島尾敏雄やミホさんの心の中は私には何だか(中略)お二人の娘のマヤさんは、9歳で成長が止まり、今でも言葉も話せず、通常には歩けず、そして、私にははっきりわかりませんが、映画でちらりと見えるその顔は、苦悩しているようにも見えます。島尾敏雄の写真の顔は、どうも私には好きになれません。ミホさんは美しい。そのミホさんの一人語りの映画であり、私はしばしば背筋が寒くなりました。特に、島尾敏雄が先に死んでしまうとは。

ドルチェ-優しく [DVD]

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